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「アイツは本当は高校で結果出したかったんだよね…」 杉浦がポツリポツリと話し出す。 高校を選ぶ時も、理紫は本当は強豪校に行きたかったらしい…。 けれども、父親に自分の母校に入って欲しいと願われたのと、もうそろそろサッカーよりも堅実な道を考えろと言われた事で青塔高校に入学を決めた。 「だから、ただでさえサッカーにしか興味がないヤツが、余計に、成績さえ保っていればサッカー以外はどうでもいいって思っちまう様になったと思うんだよね」 理紫は高校で実績を残して、自分の力でその先の道を選ぼうと考えていたが、実際は高校としては初めての好実績を残すものの、思った通りの結果は出せなくて…。 「サッカーは1人じゃなくて、11人でやるものだからさ…。俺達がアイツの足を引っ張った様なもんだよ」 杉浦の言葉に、海月は悲しくなって「そんな事ない…」と首を振る。 理紫は予選敗退した最後の挨拶の時に「お前達とサッカー出来て良かった」と言っていたから…。 そんな海月を見て、杉浦は苦笑すると話を続ける。 結果を残せなかった理紫に父親は『これでサッカーも卒業だな、ここまでやればお前も満足しただろう』と言ったらしいのだ…と。
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