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「みぃちゃんは、僕と話があって来てくれたんだからね。田中さんはちゃんと自分の場所に戻って」
「えぇ~!ズルいですよっ、マスターだけ!」
「…ズルいじゃないよ。まだお客様いらっしゃるでしょ?」
桐谷に人差し指を口元に立てながら言われて、唯奈はハッ…として自分の口を押さえた。
そして海月とマスターを見比べながら、渋々とカウンター内へ戻って行く。
桐谷は苦笑しながら、それを見届けると海月に向き直り、
「じゃあ、あそこで座って待ってて?」
と、奥の4人掛けの席を指を差した。
「…はい」
『お仕事中なのにすみません…』と、海月が頭を下げる。
すると桐谷が、
「…いいんだよ。本当はもっと早く来るかなって思ってたんだから」
…と言って、海月に微笑んだ。
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