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徳井 理紫<トクイ サトシ>ーーー。 それがそのヒトの名前だった。 クラスが違っても、海月が探さなくても、彼の話は色々なところから海月の耳に入ってきた。 そして、入学式の時に一緒に歩いていたオンナノコが《今の彼女》という事も分かった。 《今の彼女》…。 その言い方の理由もすぐに分かった。 1ヶ月もすると、理紫の隣にいるのは違うコになっていたから。 でもそのコも1ヶ月保たなかった。 その次のコも。 くるくる変わっていく《彼女》達…。 彼女が変わる度に、理紫の評判と噂はどんどん悪くなっていったけれど、それでもオンナノコが途絶える事はなかった。 けれど、海月はどんな話を聞いても、入学式の時の理紫を忘れる事が出来なかった。 蜂蜜がとろける笑顔も。 気が付けば海月の目は毎日、理紫の姿を探していた。 でもクラスも違い、接点のまるでない海月が偶然だけに頼っていては確実に理紫を見られる保証はない。
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