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「《クルーゼ》は、みぃちゃんがいてくれないと淋しい…」
呟く様に言った桐谷の言葉に、海月は何て返したらいいのか分からなくて黙っている事しか出来ない。
桐谷はハンドルを切ると、スピードを落としながらゆっくりと海月のアパートの前に車を停めて、ハザードを点ける。
「ありがとうございました」
ホッと息をついた海月が、降りようとドアに手をかけようとすると、
「…それと、みぃちゃん」
「はい…?」
「みいちゃんの王子様に、みぃちゃんからもしっかりと、さっきの話をしてもらいたいんだけど」
桐谷がフロントガラスを見つめたまま、海月に言う。
「…はい」
「みぃちゃんからなら、サトも話を聞くと思うから」
…それはどうか分からないけれど。
「話そうとは思っています」
海月が答えた途端、桐谷のチッ…っという舌打ちが聞こえた。
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