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理紫が、視線を海月に寄こす。
「俺、海月にいい子で待ってろって言ったよね」
「…理紫、あのね」
「言ったよね？」
有無を言わさない理紫の物言いに、海月は言葉を飲み込む。
『…何、考えてんだよ』
理紫は自分の額に手をやると、首を振った。
「お前さ、コイツに何されたか忘れたの？」
「忘れてなんか…」
怒(いか)りを隠そうともせず、更に呆れた様に言われて、海月は悲しくなる。
海月だって、好き好んで桐谷を訪ねた訳じゃない。
結果的に訪ねて良かったとは思っているけれど、理紫の事だから…。
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