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「あっ…、それ」
「返して…」と、海月が手を伸ばすと「返せっ…て、なんだよそれ」と理紫がガックリする。
「だって、理紫にあげた訳じゃないもの」
その隙に海月はトン…ッと理紫の肩から降りて、自分で鍵を開けた。
カチャリ…と鍵を開けて、中に入る。
「…俺はあげたのに、海月はくれないの?」
理紫が海月の後から入って来て鍵を閉めると、不服そうにそう言った。
パチンと電気を点けると目に染みる位に眩しい。
「だって…、結婚も決まってないのに、女の子が部屋の鍵を渡すのは駄目だよ…」
「…じゃあ、決まればくれんの?」
「理紫とは、結婚してあげないもん」
「ハ…ッ?」
「…でも、考えを改めて、サッカー選手になるって言うのなら、今すぐにでもしてあげる」
何を言い出すのかと、理紫が驚いた顔で海月を見つめる。
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