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冗談めかして言ってはみたが、逆に『じゃあ、いい』何んて、理紫に言われてしまったらどうしよう…。
何んて言われるか不安で、胸がバクバクする…。
理紫を見ると、その口元には笑みを浮かべてはいるが、乱れた前髪の間から覗く瞳は笑ってはいなかった。
「…それはスゴく魅力的な申し出だけど、俺にも人生設計っていうものがあるからなぁ」
海月はキリッ…と痛む胸を両手でギュッと押さえる。
現実的ではないと思ってはいても、拒否される様な言葉はやっぱりツラい。
「そう…。じゃあ、しょうがないね。私のせいで決めないなら、私のお願いなら聞いてくれるかと思ったんだけど」
「……おい」
俯いて視線を逸らし、部屋の奥に入って行こうとした海月の腕を、理紫がパシッと掴んだ。
「…何?」
「さっきから、何、俺の事試してんだよ…?」
「試してなんか…」
「しかも、自分で言いだしたくせに、自分で傷ついてりゃ世話無いね」
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