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「海月も言うようになったね」 愛しさを滲ませた甘ったるい瞳に、胸が跳ねる。 「…理紫にからかわれてばかりもいられないもの」 ドキドキした心臓が苦しくて思わず目を逸らすと、ぷっ…と理紫が吹き出す。 「何?」 「耳まで真っ赤だよ」 「……っ!」 クラクラして、全身が火照る。 …かなわないなんて、嘘つき。 笑顔の1つ、言葉の1つでこんなに私を翻弄してしまうくせに…。 いつまでも笑っている理紫の胸を「もうっ!」と拗ねる様に叩くと、「ごめん、ごめん…」と、おでこに、ふわりとしたキスを落とされた。 「じゃあ、お詫びに海月の事、沢山可愛がってあげるからね」 キラキラと楽しそうに瞳を煌めかせながら理紫に言われ、 「可愛がる…って」 嫌な予感がしながらも、言葉を返すと……。 「さっき期待したでしょ?」 ……囁く様な甘い声に眩暈がした。 「期待なんて…っ」
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