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「マ…、お母さん、徳井くんの事知ってるの？」
状況が掴めないまま、海月が聞くと、陽子は驚いた顔を笑顔に変えて、『知ってるわよ』と言った。
きっと何か、思い付く事があったのだろう。
自分の母親ながら、本当に頭の回転の速い…。
思いながら、
「…どうして？」
首を傾げる海月に、
「だって、みぃちゃん、前はよくサトくんのお話をしてくれたじゃないの」
陽子はそう言って、ふふっ…と笑う。
「そっ…！」
そんな事、理紫の前で言わないで欲しいっ！
すると、陽子は、今度は理紫に向き直った。
「サトくん、スーツなんて、今日は特に素敵ね」
「ありがとうございます」
「主人もまさかサトくんだとは思っていないだろうから、ビックリしちゃうわね」
「…そうですね」
にっこりする陽子に、理紫もにっこりと微笑って返す。
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