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「うちの上の子も青塔高校だったのよ?《吉村 海月》っていうんだけど、もしかして知ってるかしら?」 「…知ってますよ」 理紫が表面上は爽やかに笑いながら、心の中ではほくそ笑んでいたのを陽子は知らない…。 その後も3人で色々と話をして、図書館から出てきた誠一とも挨拶をし、理紫は「アルバイトがあるから」とその場を後にしようとする。 「…僕は来週もここで練習するつもりです。折角さっちゃんと友達になれたので、良かったら来て下さいね」 理紫はそう言うと、次には砂月の側にしゃがみ込み、砂月だけに聞こえる声で、 「来週、約束を守る為の物をさっちゃんに預けるから、絶対においでね?」 と囁く。 びっくりした様に理紫の顔を見る砂月に、 「お母さん達には内緒だよ?」 人差し指を立てて、その口唇にチョンと触れると、砂月は顔を赤らめて2度返事で頷いた。
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