14876人が本棚に入れています
本棚に追加
カチャカチャとティーカップの音が響く。
ブルーの花模様は、陽子のお気に入りのコペンハーゲンだ。
「サトくんはさっちゃんと私が好きだから、いつもここのケーキを買って来てくれるのよ…」
リビングに誠一と理紫を残し、砂月を寝室に寝かせた後、陽子と海月はキッチンでお茶の用意をしていた。
「ママは…、徳井くんの事どう思う?」
海月は思いきって、陽子に聞いてみる。
「優しくて、とても良いコだと思うわ。サトくんなら、ママは概ね賛成よ。応援するわ…、ただ」
「ただ…?」
「みぃちゃん、サトくんとはどこまで考えているの?」
やはり、見透かされている…。
どうして分かるのか、母親の勘か、昔から陽子は海月の考える事を全て分かっている様だった。
「ずっと、一緒にいたいの…」
カップに注いでいた香り豊かな紅茶が、琥珀色に煌めいてソーサーに溢れる。
最初のコメントを投稿しよう!