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こんな時まで、からかう様な言い方…。 海月は、理紫の胸元を掴む手を強くする。 それでも、笑みを含みながら「…ありがとう」と、小さな声で囁いてくれた言葉は、海月の胸を切なく締め付けた。 「…どっちかっていうと、うちの娘の方が理紫くんの事を好きみたいだね」 ポツリ…と呟いて、苦笑した誠一の声が部屋に響く。 「……っ!」 海月は今更ながらに、父親の前だったと気付き、真っ赤になって後ろに飛び跳ねる様に理紫から離れた。 「うちのコ達は2人共、サトくんにべた惚れって事だわね」 いつの間にか、部屋に来ていた陽子のため息も聞こえる。 「理紫くん…」 改めて、誠一に真っ直ぐに射るように見つめられ、理紫は「…はい」と居住まいを正した。
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