24.

11/32
前へ
/640ページ
次へ
理紫は背中に冷たいモノが流れるのを感じた。 「でも理紫くん、それは狡いよ。そんな覚悟を持って来られては、こちらは反対など出来ないじゃないか。それとも、そこまで読んでいるのかな?」 「そんなつもりは…」 「ないと言うのなら、3年後にまたおいで。3年で区切りを付ける気なのだろう?君が大きくなって、この場に戻ってくるのを待ってるよ」 「お父さんっ!」 認めてくれないのと声を上げる海月に誠一は「海月…」と名前を呼ぶ。 「お前は、理紫くんを信じて待つんだろう?それならば、一人暮らしは止めて、家に戻って来なさい」 「どうして…」 何故、今、家に戻る話になるのか…。 海月には父親の意図が分からない。 誠一は愛しい娘を、この上なく優しく見つめた。 「後3年位、家でちゃんとお父さんの娘をしてくれよ」
/640ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14876人が本棚に入れています
本棚に追加