24.

15/32
前へ
/640ページ
次へ
海月に似た柔らかい面立ちで、けれど海月には無い手ごわさを持つこの母親は、 『娘の事を、ずっと大切に思っていてくれてありがとう』 微笑みながら、理紫にだけに聞こえるようにそう言うと、玄関に降りて扉を開けた。 何故そこまで分かったのか。 けれど思い当たる節は無くはない…。 吉村家に接触している事を出来るだけ海月に知られない為に、陽子には、冗談めかして海月にフられた話をしていたし、それから、もう1つ…。 ーーーそっちだろうな。 それを見ていたから、ずっと黙っていてくれたし、気付いたのかも知れない。 トン、トン、トン…。 階段を降りてくる小さな足音が聞こえてくる。 「さっちゃん!」 海月が砂月の傍へと駆け寄った。
/640ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14876人が本棚に入れています
本棚に追加