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「油断してるからです」 海月は理紫の前に回ると、その隣に腰掛ける。 「…へぇ、そうなんだ」 「そうですよ」 そして、「どうぞ」と缶コーヒーを差し出すと、理紫がニヤッ…と笑う。 「な、に?」 不敵な笑みに海月が怯めば、 「別に…。ありがとう」 と、受け取るフリをして両手で海月の手をフワリと包んだ。 「理紫…?」 海月の心臓がトクン…と音を立てる。 思わず、理紫の瞳を見つめてしまった、次の瞬間! 「きゃあっ!」 理紫が包んだ手にギュッと力を入れて、熱い缶ごと海月の手を縦にガシガシと振った。 あまりの熱さに、海月は理紫の手を振り解く。 缶コーヒーが地面に落ちた。 「…ひどいっ!」 「油断してるからです」 今度は海月が同じ言葉を言われ、ため息を吐く。 ……やっぱり、勝てない。
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