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考え事をして、ぼんやりしてても理紫は理紫だ…。 「…火傷しちゃったら、どうするの」 「それはこっちの台詞」 言いながら理紫は、足元に落ちた缶コーヒーを拾って砂を払うと、正面を向いたまま、ぽんっ…と海月の頭にもう片方の手を乗せる。 「…さんきゅ」 それは渡した缶コーヒーに言ったのか、それとも…。 海月はふるふると首を振る。 「私こそ、ありがとう…」 キチンと親に挨拶してくれて、2人の事を考えてくれて。そして…。 海月は、肩掛けの小振りな鞄から、ゴソゴソとさっき砂月が渡してくれた物を探す。 外に取り出すと、チラチラと点きだした電灯の光に、それはキラッと反射した。 「これは、私のなんでしょう?」
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