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「…分かっちゃった?」
理紫が眉を寄せて、困った表情を海月に見せる。
「うん、さっちゃんと話してる内容で分かったよ…?」
「…だよな」
「でもどうして、さっちゃんが持ってたの?」
海月は、一番不思議に思っている事を聞いた。
すると理紫が、口の端を持ち上げ自嘲するように微笑う。
「…俺が狡いから」
「狡い…?」
そして、『言わなきゃ駄目か…』小さな声でぽそりと呟くと、
「…それは、卒業式の日に海月に渡そうと思ってたものだよ」
と、額に手をあてて、ため息を吐いた。
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