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理紫は海月を見つめながら、思い出したように含み笑いをする。 「まさか、渡せないまま、あのまま逃げられちゃうとは思ってもみなかったけど…」 「ごめんなさい…」 自分の間違ってしまった選択に、海月は心が震えてしまう。 でも、あの時は苦しくて、苦しくて、どうしようもなくて…、そうするしかないと思っていたから。 「…何ンで俺の前から居なくなったの?まだキチンと聞いていなかったよね?」 自分のした事に居たたまれなくて、小さくなって俯いた海月に理紫が更に追い討ちをかける。 けれど…、 『ごめんなさい…』もう1度謝る海月に理紫は、 「謝らなくてもいいよ。本当は、何んとなく分かっては、いるから」 そう言うと、理紫は膝の上の海月の手にそっと自分の手を乗せた。 このまま、誤魔化されてくれるといい…。
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