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それでも、海月は理紫のした事に対して、一緒に地獄に堕ちるとまで言ってくれた。
……恋という名の糸紡ぎで指を刺して、目を覚まさないのは、あのコの意志だ。
「…もうそろそろ、バスの時間もあるんでいいですか?」
理紫はニッコリと笑って、桐谷と葉山、2人の顔を見比べる。
「えっ…、あっ、分かった。理紫、いきなり悪かったな」
焦ったように言う葉山に、「いいえ」と返すと、軽く頭を下げて理紫はクルリと踵を返す。
「逃げんのか…?」
けれど、後ろから桐谷の声がまだ追い掛けて来て、理紫は深い溜め息を吐く。
「サト、まだ肝心なことを話してねぇぞ」
「…恭さん」
以前の呼び方で理紫に呼ばれ、桐谷が目を見開いた。
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