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「…俺も本当は自分自身が怖いんですよ、こんなに際限なくて」
足だけ止めて、振り向きもせず、理紫が呟く様に言う。
…自分の《好き》には、キリがない。
愛しくて…、欲しくて、どこまでも欲しくて……。
「ただ、いざとなれば、あのコの為に、俺は全てを犠牲にする覚悟はありますから」
海月を失う事に比べたら、何もかもが瑣末なことだ。
桐谷の満足そうな笑い声が響く。
「狂ってんな」
「…狂ってますよ」
そんなの、自分が1番よく分かっている。
理紫もクスリと笑い、片手を上げると、廊下の先へと歩いて行った……。
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