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「いつから居たの」
どこから入ったのか、なんて聞かない。
僕とさやの家はいわゆる「閑静な住宅街」に存在する十人並みの一軒家で、僕たちは物心ついた時には既にいわゆる「おとなりさん」で「幼馴染」で、お互いにお互いの部屋を持ってからはその部屋を勝手に行き来する仲だった。
玄関から上がることもあれば、自分の部屋の窓から相手の部屋の窓へと入り込むこともあった。
それは世間的には不法侵入となるわけだが、もう兄妹といってもいいくらいの時間を一緒に過ごしてきた僕たちや僕たちの家族にとってはその状態は当たり前で、お互いの部屋にお互いの存在が不意に現れたとしても、それは驚くことでもなんでもないのだ。
呼吸をする様に、食事をする様に、お互いの存在は、お互いにとってなんでもないくらい存在していることが普通なのだから。
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