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3月の朝、突然鳴り出す響からの電話
いつも夕方すぎが多いが今日は朝の8時
この間のことは気にしないそぶりで電話に出る。
「もしもし俺、寝てた?」
「ううん。2時間前から起きてますよ」
「あのさ、こないだごめんな」
「こないだ?なにが?」
「・・・・うん。まぁ・・・あのさ、
お返し何が欲しい?」
「お返し?」
「え?こないだのケーキ。。。あれって
バレンタインじゃないの?」
響が帰ったことがショックすぎて、
すっかり自分がしてあげたことを忘れていた。
ましてや響からの見返りなんて
創造すらしてなかった
「もしもし?
おーい聞いてる?
それともマジで違ったの?」
「あ。ごめん。
一応バレンタインではあったけど。
別にお返しなんていらないから」
「びっくりした!マジで勘違い野郎かと思ったよ!
っで何が欲しい?」
「いや、本当に・・・」
「だめ!いらないは無し」
「じゃあ、愛が欲しい」
響が1番私に贈れないものを言ってみる
「それはダメ!依海にいつもそそいでるから
もうカラッポだから、無理!」
デフォルトの返しのように
慣れた口調で言った言葉に
注いでるのは私にではなく彼女になのは
わかりきってるので
なんだか少しあきれてきた。
ダメな息子をもった母親の気分にすらなってくる。
「じゃあ・・・お菓子がほしい」
「へっ?」
間の抜 けた声で響が問いかける。
いつも平然と対応する彼が
驚きを隠せない様子でもう一度訪ねてくる
「お菓子って食べるやつ?
え?もっと他にないの?
アクセサリーとか
鞄とか身に着けるものーとか」
響の愛がないのなら
たとえダイヤモンドも
ブランド品も
素敵な時間ですら
一人でいる時には
ただのガラクタだ・・・
ならば、彼がいない時に
思い出しながら
私の口から入り
体の栄養分となるお菓子の方が
まだ私にとって、うれしかった
それに彼の周りにいる女性はきっと
可愛く彼からもらったものを
身につけて喜ぶ
又はブランド品を愛の重さと感じる
そんな人が多いのではないかと思い
これは私の勝負に出た計算でもあり
響の言葉からあながち外れてはいないと
確信もできた
高価なものなんかいらなかった
本当に愛が欲しいからこそ
彼の同様を気にせず
思いっきり明るい声で言った
「うん。クッキーでも飴でもチョコレートでも
いっぱい食べたい」
「・・・・・」
響は少し無言だった。
彼の期待にそぐわない回答に不服なのか
または、逆かはわからないけれど
私が私であるために
流されてばかりではだめだと思い
答えを変えなかった。
「バカっ・・・・・」
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