代償

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もしかしたら 純は 気がついているかもしれない。 純は何も言わなかった。 そしてゆっくり私を抱き寄せた。 確認するように 何度も 何度も 繰り返す愛の言葉。 私はこの人を 傷つけてしまった。 いつも体を丸めて 自分を慰めるように 眠る彼を 傷つけた。 今できるのは 彼が安心できるように 抱きしめるだけ。 だけれども、 私には彼を幸せにすることも その資格もないのかもしれない。。。 犯した過ちも 受けた傷口も 塞いでも、消えることはなく その夜から 鏡ごしの純の表情を 思い出すのだ
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