偶然と必然

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1Fはメインフロアのようで、すごい人の数だった。 私たちはすぐに目的のVIPルームへ 出来るだけ近いと思われる 上の階へ向かった。 2Fは1Fよりは落ち着いた雰囲気だったが、 そんな空気に溶け込めずに 気持ちが落ち着かない私たちは、 とりあえずお酒でも飲んで 雰囲気になじもうとした。 暗い空間の天井に水面のようなライトが照らされている。 そこはまるで、 水中のようだった。 クラブなんて滅多にこないし、 なんか怖そうな印象が強かったけれど このお店は素敵だなぁと素直に思った。 天井を見上げ、 雰囲気に酔っていると、 急に体に冷たさを感じ、 同時にガラスが割れる音と 何かが勢いよく倒れる ものすごい音が聞こえた。 一瞬何が起きたのかわからなかった。 どうやら、 酔っ払った人が倒れて、 その人が持っていたコップが宙を舞い、 運悪く、私に中身がかっかたようだ。 「うぅ・・・最悪。 こんなんじゃネイキッドが来ても会えないよ」 「エミ?大丈夫?」 ミツルが自分のハンカチで私の体を拭いてくれたが、 髪から滴り落ちる雫を見て なんだか 泣きたいような 恥ずかしいような 今すぐここを飛び出したい気分にすらなっていた。
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