偶然と必然

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「ゴメンね。大丈夫?」 声をかけて来た人は、 黒いタンクトップに、 帽子を被った背の高い男の人。 「ありゃ・・・こりゃ可愛い服が台無しだなぁ。 ちょっとこっちに来て。」 余りにも早い展開で、 思わず私達はその人について行ってしまった。 普段ならそんな風に声をかけてくる怪しい人には 絶対については行かないが この時は違った。 この場から自然に離れられる口実ができ この怪しい人が神様のように見えていた。 フロアの奥に進むと、 その人は入り口に【STAFF ONLY】と 書かれた看板がかかっている鎖を外し その先の階段を登って行った。 階段の下で二人で固唾をのんだ。 「これって・・・ VIPルームにいく階段?」 「まさか・・・」 っと言いながらも、 綻んだ顔がなかなか収まらない。 怪しい男の人は、 私達が上がってこないので後ろを振り返り、 爽やかな笑顔で手招きをした。 私とミツルはもう一度顔を見合わせて 大きく息を飲み込んだ。
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