偶然と必然

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扉から1人の男の人が入って来たのだ。 男の人は黒いキャスケットをかぶり、 黒縁メガネが印象的だった。 中に誰かいるか様子を伺うように見回すと、 はじめに私と目が合い、 少しの間、その人が固まったように見えた。 「あ・・・響(キョウ)。どうしたんだよ急に」 涼さんの声でその人は私から目を離した。 その人が何もいわないでいると、 続けて涼さんが口を開いた。 「悪りぃ、今日は先約がいるから、 また今度来いよ。」 すると、軽く会釈をすると、 重い扉を閉ざしてその人は帰っていった。 「あいつは、いつもアポ無しなんだよ・・・ それにしても機嫌悪そうだったな ・・・ゴメんね」 「いえ、全然」 「あっ・・・そうだ響で思い出した! ちょっと待って」 おもむろに涼さんは、スマートフォンを取り出し、 誰かと話し始めた
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