ウルトラ謎短編集

輪廻

人生。

その意味とは何だろうか。

普通なら「家族」や「仕事」、もしくは「趣味」が答えになるのかもしれない。

でもそれは人生の途中で予測したものであって、終わる瞬間に悟った結論ではない。

死ぬ瞬間、人生の終わりを神に告げられるその瞬間、人間は己の一生という過去から、己の人生の意味を悟り、神の住まう天界へと旅立つ。

しかし、人生の意味を見いだせなかった者は天界には行けず、輪廻の輪に巻き込まれ、人生の意味を見いだすその一生を迎えるまで、何度でもまた人間としてこの世に生を受ける。

故に俺は、もう何度となく繰り返される人生に辟易し、終わりたいと願ってもその意味を見出だせないがために、こうして独り無味乾燥な日々を送っていた。

もし、この彩りの無い灰色の日々に色を添える何かに出会えたら。

俺は幾度となく繰り返される人生のループから、抜け出せるのだろうか？

空から何かが降りてくる。
あぁ。お迎えか。
俺の人生は、ここで終わるんだな。
あっという間だったな……。
できればもう一度、この世に生を受けたい。
あの輝いていた時間を、もう一度過ごしたい。
けど、それは叶わない。

…神の使いが、迎えに来たのだから。

向こうに着いたら、俺は胸を張って神に言ってやろう。
これこそが、この一瞬の時間こそが

'俺が繰り返してきた人生全ての意味だった'と。