第八章

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あれが手紙の書き始めの恒例になったのは彼女からだった。 なぜか名前は書きたくなさそうだったのでそれを追及する事はしなかった。 今思うと多分聞いても返事は返ってこなかっただろう。 『Dear K.kirishima』 それは“霧島華那”宛てだったのだから     「……つまり俺が文通をしていたのはホントは華那だった って事か?」 「………。」 梢は黙ってうなずいた。   華那が文通を始めたのを知って隠れて俺との文章を読んでいたらしい。 俺の推測では多分華那は読まれていたのを知ってたんだと思う。 だから、 わざわざイニシャルにしたんだ“華那”の“梢”に対する 優しさや配慮だったのかな? でも手紙を読まれたりしたら普通怒らないか? ……怒る? 俺は梢に対して怒ってるのか?
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