第九章

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    高台への道はぬかるんでいて、かなり歩きにくかった 「やっと着いた……」 高台からの見晴らしのよさ 昇ったばかりの太陽 早朝の香りを運ぶ心地よい風 普段と何も変わらない家々 そのすべてがなんだかとても新鮮で心が清々しくなった。   この高台に唯一立っている木 それにそっと手を触れてみる。 ……湿っていて、冷たい 俺は木に寄り掛かり考えてみる こんな素晴らしい場所で考えるのが一番いい 『親戚の人が大変な事になって……』 あの手紙を書いたのは梢だろう 字も少しだけ違ったし というか俺と文通をしていた華那が大変な事になってたんだし…… 文通をしていた頃は華那。 高校から話していたのは梢。 どっちが、って事でもないし……。 どっちがって? ……そうか。 そこで俺は頭の中でこんがらがっている一番の原因にようやく気がついた 俺って誰の事が好きなんだろ?
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