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「そんな…でも…。」
「ウルクさん、それじゃあどうするんですか…?」
足をすくませる二人をよそに、
危ないと言われた
ベルハウトは先を進む。
「ベルハウト!行かないで!!」
「…大丈夫だよ。リスフェルが思っているより危なくないし、何よりセルティマを一人させる訳にはいかないしね。」
彼はそう言って
セルティマの後を追う。
彼は先を行くが
行動が出来ない二人に
ウルクは助言をする。
「リスフェル、エリオット。ここから先はいつも以上に気を引き締めてください。ある程度は気力でしのげます。」
「えっ…気力…?」
「…分かりました。頑張ってみます!」
リスフェルはすぐに、
全身の神経を尖らせて
歩き出した。
もう片方残された
エリオットは、
どうしたらいいのか分からず
おろおろとする。
「気力…気力って…?」
「エリオット、だいじょうぶ。カリス、ウルク、いる…よ?」
少年の緊張をカリスが
拙い言葉で励ます。
エリオットは奥歯を噛んで
迷いを振り切って歩き出す。
「よ、よし…!行くぞ…。」
「エリオット、ガバレ、いこ。」
「ははっ…、カリスに新しく言葉を教えなくてはなりませんね。」
足を止めていた彼らも
遅れをとりながら
後を追いかける。
†
「はぁ…はぁ…。」
「追いついた、セルティマ。」
「…ベルハウト…。」
薄暗い樹海に
淡く美しい魔力の光が漂う。
しかし、『人間』が
それに触れようものなら
幻が夢を見せる。
「…ベルハウトは…平気…なんだ…。ますます…不思議だね…。」
「まぁ、特異体質って奴さ。」
「…似てるね…。オレ達…。」
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