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セルティマはウルクの背から
下りるとふらつきながら
自らの足で立った。
「ほら…、なんとか…立てるよ…。」
「馬鹿言うな。ろくに立ててねぇぞ。」
「大丈夫…。もう少し先に進めば…。」
蒼白な顔で彼は
錫杖を立てて歩き出した。
そんなセルティマの肩を
ウルクが掴み引き止める。
「セルティマ、ここから先へは…あまりにも危険です。」
「そっかぁ…、確かに…エリオットとリスフェル…、ベルハウトには…ちと危ないかな…。」
「ばっ…!あなたもですっ!!死にますよ!?」
ウルクの赤い眼光が
肩で息を切るセルティマを
睨み付ける。
しかし、事に気付いた彼は
そっと手を離した。
「…まさか…!」
「…気付いた?そーゆー事なんだ…♪」
眉をひそめたセルティマは
悲しそうに先へと
足を進める。
「…ウルクさん。彼が言っていた私やベルハウト、エリオットがこの先危ないって…?」
「…リスフェル、エリオット。良いですか?」
ウルクは静かに
二人に確認を取る。
しばらくの沈黙を
了解だと捉えたウルクは
リスフェルの質問に答えた。
「ここから先の樹海、魔力が肉眼でも確認出来ます。」
「えっ!?」
「目には見えない魔力が…?」
「それだけではありません。魔力は確認出来るほど溢れていたら、常人は幻視や幻聴など体に異常をきたします。」
二人は顔を見合わせて
黙々と足を運ぶ
セルティマに思わず
声をかける。
「だめっ!!セルティマ!」
「戻って来てください…!」
「彼は魔力に対する抵抗力があります。だから、濃い魔力にさらされていても大丈夫なんです。」
それでも二人の不安は
膨らむばかりだ。
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