~重過ぎる過去~

6/11
208人が本棚に入れています
本棚に追加
/636ページ
目に見える魔力が 二人に強い幻聴と幻視を 起こしている。 特にリスフェルは、 顔色を真っ青にして 小刻みに震えている。 「…リスフェル。これを飲め。」 「…ごめん…。それと…ありがとう…。」 「エリオットも。」 体調を崩す二人に ベルハウトは薬を渡す。 リスフェルとエリオットは すぐに薬を飲み込んだ。 「しばらくは安静にしてろ。セルティマと一緒に休んどけ。」 「うん…。」 「オレはもう大丈夫だよ…?」 「休んでろ。」 軽くあしらわれた セルティマは、 頬を膨らませてあぐらをかく。 落ち着いた様子を見て ベルハウトはウルクに 言葉をかける。 「ウルク、昼飯を調達しに行くぞ。」 「僕ですか?構いませんが…。」 彼らは樹海の中に 仲間を置いて 散策を始める。 「…相当来てるな、あいつら…。」 「魔力の影響を受けやすいのは、人間だけですからね…。エリオットは街以外の場所で活動していたので、ある程度は抵抗力が増していたようですが。」 「ラユエムの遺跡にエリオ君を連れ出したのは、あいつに魔力に対する抵抗力を高めるためだったのか。」 「その通りです。しかし、ベルハウト…、あなたも『人間』ですよね?」 魔力に対して常人ならば 先ほどのリスフェルや エリオットと同様に、 酷い幻に襲われる。 『正しき聖者』なら 別なのだが…。 「お前さん。俺の正体見破っときながらそれはないっしょ。」 「それでも…不自然なんですよ。」 「僕ちゃん人間ですよ。」 「なら、なぜ魔力の影響を受けないのですか?」 ウルクの声に ベルハウトは足を止めた。
/636ページ

最初のコメントを投稿しよう!