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「…さて、そろそろ出て来なよ。」
ウルクと別れたベルハウトは
漂う魔力に語りかけた。
刹那、空を切り裂いて
虚刃がベルハウトを捕らえた。
「うおっ…!?」
体をよじり彼は
間一髪でかわすが、
次の瞬間にはベルハウトの首に
刃が当てられていた。
彼は刃を掴む影の手を、
瞬時に両手で食い止める。
「…っ！」
「……。」
じりじりと首に刃が食い込む。
ベルハウトは奥歯を噛み、
足に力を込めて脚技を
影にかけた。
「ぐっ…!?」
「はぁ…はぁ…、狙いが俺なのは…分かってたんだけど…。」
浅く切られた首に手を当て、
ベルハウトは呼吸を整える。
「『正しき聖者』フィート。お前がアルフィーの民をやったんだろ。何であんな酷い事をした？」
魔力に紛れる影が
実体を現す。
空を羽織った
正しき聖者 フィートが
理不尽な怒りに燃える声を
言葉に出す。
「…存在する価値もない堕人を、掃除して何が悪い？」
「…っ！」
「貴様もその一人だ。ベルハウト。」
「…俺の名前をどこで知った!?」
命を踏みにじる
フィートの態度に、
ベルハウトは怒りを
あらわにする。
「【レフィルナの村の生き残り】…そしてお前は禁忌を破った。」
フィートの言葉に、
彼は目を見開いた。
「…よくあれだけの堕人を、貴様の身勝手な願いで死なせたものだな。」
「…めろ…。」
「…どの道、妹は助かる事はなかったのに。」
「止めろっ!!」
ベルハウトは我を失い、
怒りにまかせて剣を振るった。
「うおぉああぁー!!!!」
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