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「…セルティマを捜しに行ってきます!みなさんはここで待っていてください。」
心当たりがあるウルクは、
リスフェル達にそう告げると
来た道を駆けて行った。
どうしたのか全く
訳の分からないまま
再び置いて行かれた彼女達は、
回らない頭で何が起きたのか
必死に考えた。
「…セルティマ…が居なくなって…、僕達は…どうしよう…。」
「…エリオット、私達…待たなきゃ…。」
「…セルティマ、ベルハウト…いく…。」
一人カリスは立ち上がり、
ウルクの後を追いかける。
「あ…だめ…カリス、戻って…!」
「ベルハウト、セルティマ、なおす。」
「…もしかして、ベルハウトに何かあったのかな…?」
ウルクの言い付けを
忘れたのか、
リスフェルも歩き出す。
いつものように
エリオットは散々迷った末に
追いかける事を選んだ。
†
ウルクはベルハウトと
別れた道で足を止めた。
「…ベルハウト、どうか無事でいてください…!」
静かに祈り、ウルクは
ベルハウトが消えた道へ
急ぎ足で駆けた。
その途中から空に漂う
魔力が急速に消えている事に
彼の不安は現実になった。
目に飛び込んできたのは、
流血し横たわるベルハウト。
傍らにはセルティマが
光を集め紡いでいた。
『ベルハウトッ!お願い、目を覚ませ!!辛くて重過ぎる過去があっても、それをここで終わらせる理由になんかするなっ!!』
セルティマは汗を流して、
淡い治療術の光を
ベルハウトに施し続けた。
それでも彼は蒼白に
なったまま動かない。
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