~重過ぎる過去~

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「…セルティマ、僕も手伝います。治療術は専門外なので、どこまで出来るか分かりませんが…。」 『ウルク!?まぁ仕方ないよね。オレだけじゃ…こんな深い傷口…塞がらない…っ!!』 ウルクも加わり 治療術の光は強く瞬く。 ベルハウトの傷口からの おびただしい出血はなんとか 収まった。 『…よし…!塞がった。』 『…セルティマ、あなたも魔術が使えたんですね。』 青年の言葉に、 セルティマは静かに頷いた。 魔術の温かい光を消して、 彼は汗を拭った。 「…そろそろ来るよ。カリス達。」 ウルクは後ろを向く。 顔を真っ青にしたカリスが、 息を切らして歩み寄って来た。 「…ベルハウト!!」 「カリス?リスフェル達は…。」 彼の声は遠く届かず、 カリスはよろよろと歩み寄る。 石のように白く、動かない彼。 顔を歪めるカリスに、 セルティマは彼女の肩を叩く。 「カリス、ベルハウトは大丈夫。なんとか生きてるよ。」 弱りはてたベルハウトに カリスは優しく触れた。 その瞬間、彼は目を覚ます。 「ベルハウト!!」 「…うあぁっ!!!」 ベルハウトは力一杯に叫び、 体を起こした。 走る激痛に顔をしかめ 彼はゆっくりと立ち上がった。 追いついたリスフェルと エリオットも彼が 血まみれた姿に 顔を青ざめる。 「……大丈夫…だから…。」 「…何が『大丈夫だから』なの!?ふざけないで!!」 リスフェルは背を向ける ベルハウトに怒りをぶちまける 「…うるさい。」 「…ベル…ーッ!!」 「リスフェル、やめてください。彼は…。」 手を振り上げたリスフェルに ウルクは制止をかける。 怒りに震える彼女は、 セルティマの言葉に 声を失った。 「ベルハウトはね、【アルフィーの民】なんだよ。」 「……えっ?」
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