~闇に沈む~

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昼食の準備を整えて 一同は静かに食べ出す。 ベルハウトが傍で 小さな寝息を立てる。 その音が聞こえる程、 みんなは会話をしなかった。 「…静かだね。」 「…ご飯中は、静かにするものよ。」 ふくれるセルティマに リスフェルが釘を刺す。 暗く落ちた空気に 楽天的な彼には 過ごしにくいのだろう。 セルティマはすぐに 昼食を終えて、 ベルハウトの横に腰を下ろす。 「…何か食べさせる?」 「…今ベルハウトは意識が無いんですよ?どうやって…。」 「オレ達が剥いたもぎたての果物をすりつぶした物を食わせる。」 果実をすりつぶした物を セルティマはベルハウトの 口元に運んだ。 しかし、こういったたぐいの 看病は苦手らしい。 「うーん…、難しいなぁ…。」 「セルティマ、違うよ。こうするの。」 彼から器をひったくりると リスフェルは ベルハウトの口に 少しずつ流し込んだ。 「お、なくなってる。」 「向きと角度だね。少しコツが必要なの。」 今まで何度か ベルハウトの看病をした リスフェルの経験が 役に立った。 「ベルハウト、だいじょうぶ、なる?」 「…カリス、ベルハウトはきっと良くなる。」 「カリス、い…のる、だいじょうぶ、なる。」 カリスもベルハウトの傍で 腰を下ろして彼の寝顔を 優しいまなざしで見つめた。 エリオットとウルクも、 食事を終えて彼に寄り添う。 「…ベルハウト。」 「彼が起きるまで、僕達が支えましょう…!」 「…はい!」 ウルクの言葉に 一同は頷いた。
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