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一方、食料収集に出向いた
ウルク達は暗くなる道を
歩きながら頭の隅に
残したリスフェル達の事を
ぼんやりと考えていた。
「ベルハウトの事も心配だけどさ。リスフェル、本当に顔色が悪かったね。」
「ベルハウトよりも、彼女の方が気が滅入りそうで…。」
「…確かに…ベルハウトと…リスフェルが…倒れたら…。」
落ち行く日を細い目で、
三人は見つめる。
赤く眩しい空に
思いを馳せても、
何も解決しない。
空気を切り替えて
セルティマが言い出す。
「…食料はこれぐらいで充分かな?」
「そうですね。もう戻りましょう。」
沢山の食料を集め
三人は帰路に急ぎ歩く。
リスフェル達の所に
合流した時、
彼女は目元を腫らしていた。
「リスフェル…、大丈夫ですか?」
「あっ…、あぁ、ごめんなさい。少し…不安で泣いちゃたんです…。」
「温めたミルクを出す?」
「セルティマ、カリスも!」
「はいはい♪みんなの分も作るから待っててね。」
セルティマが
ミルクの瓶を開けて
準備を始める。
「セルティマ…、そんな、いいよ。もう私大丈夫だから…。」
「あっ、でも開けちゃったぁ♪」
「…もう…どうぞ、好きにしてよ。」
「温めたミルク決定だね!」
彼の行動に
一同の顔が緩む。
鍋でミルクが煮立つ頃、
カリスが眠るベルハウトの
白い顔を覗き込んだ。
「…ベルハウト…。」
カリスの声に
彼はぼんやりと
意識を取り戻した。
「…ベルハウト!?」
「…カ…リ…ス…?」
真っ青な唇を動かし、
ベルハウトは
彼女の名を呟いた。
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