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それから一晩、リスフェルも
ウルクも帰ってはこなかった。
朝日が樹海に差し込む。
「…ベルハウト、カリス、ぺこぺこ。」
「即席でよかったら、何か作るよ?オレ。」
「…俺以外の…分だけ…作ってくれ…。」
「おいおい、病み上がりなんだからベルハウト、きちっと食べなきゃあ。」
「…食べても…多分…もどす…から…。」
決して血色の良くない顔で
ベルハウトは作り笑いをした。
「そらぁさぞ大変だね…。いつもそうだったんでしょ?」
「…慣れた。」
うわごとのように
ベルハウトは呟いた。
「……エリオット、手伝ってね♪」
「あ…、分かりました…。」
とても料理上手とは思えない
セルティマはエリオットを
連れて彼の元を離れる。
「…カリス、リスフェル…しん…ぱい…?」
「………。」
「…ベルハウト、しん…ぱい?」
彼女の言葉に
涙を浮かべ走り去った
リスフェルの事を
ベルハウトははっきりしない
意識の中で考えた。
「…リス…フェルも…怒ると…ああなるから…。」
「しん…ぱい、ない?」
「…ない…。」
表情を隠すように彼は、
横顔で答えた。
今に至るまでの間にも、
二人は再会するたび
何度も衝突する事があった。
「…リス…フェルは…、ああして…頭を…冷やすんだ…。」
懐かしい思い出を
語らうように
ベルハウトは朝日を見上げた。
「…あいつには…悪いんだけど…気持ちにも…何にも…俺は…いらない…。」
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