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「ベルハウトを…助けてやってくれ。」
『…癒やしの詩、口伝う治療術。ファーストエイド。』
カリスの体に空を漂う魔力が
強く反応する。
優しい温かみを帯びた
慈愛の光。
それはベルハウトの体に
静かに流れる。
「…セルティマ、いい?」
「…うん、ありがと、エリオットはみんなの荷物持って、オレこの子背負うからさ。」
「あ…、わ、分かり…ました…。」
セルティマは役割分担を
細かに決めて、行動に移した。
彼らは樹海の道を歩き進める。
方角的にはこのまま歩きば
聖職者の町
【ドローテル】に出るはずだ。
「…おっ、オレの勘当たり♪」
樹海を出る彼らに
人影がこちらに
手を振っている。
リスフェルだ。
「早いねぇ、もう樹海出たんだ。」
「ごめんなさい。私、あんな些細な事で怒ってしまって…。」
「…大丈夫、あとウルクは?」
「…あ、えと、すぐに戻ってくると思うけど…。」
彼女の話によれば、
ウルクは用事があると言って
この場所を離れたそうだ。
「町の方に駆けて行ったから、ベルハウトを休ませるために、教会の人に話をかけ合わせてるのかも…。」
「しっかりしたウルクだからね、その線濃いかも。」
「セルティマも聖職者なんでしょう?しっかりしなよ。」
リスフェルはふざける
セルティマに、
笑いかける。
しかし、すぐに張り詰めた
表情で彼の背で休む
ベルハウトに小さく謝る。
「…ごめんね…。あんなに怒ったりして…。ベルハウトが鈍感な事すっかり忘れてた…。」
リスフェルはそう言い終えて、
彼から離れた。
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