~紛い物だから~

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「うーん…、ウルクの後を追いかけようか。」 「…分かりました。エリオット、私荷物半分持つわ。」 「あ、ぁ…、ありがとう…ございます…。」 一同は【ドローテル】に 向けて歩き出す。 幾日かぶりの聖職者の町。 聖職者のセルティマは、 様々な教会に立ち寄っては ウルクがここを訪ねたか 聞き込んだ。 「…ぁ、セルティマ、どうだった?」 「だめ、ここも見てないってさ。」 「セルティマ、セルティマ。」 どこの教会に訪ねても 青年の姿を見てないと 返されたセルティマに、 カリスは過去一同が 泊まった教会を指差す。 「…えぇ…。あそこぉ…。」 「…い、一度…行きましょう…。」 「じゃあ…行って来ますよ…。」 一人行きにくそうに 彼はその教会に立ち寄った。 「…遅い…ですね…。」 「…私達も行ってみる?」 「いく、いく。」 三人は帰りの遅い セルティマに続き、 教会に足を踏み入れた。 中ではやはりセルティマと ウルクが休んでいた。 「…セルティマ、居たじゃない。」 「あ、ごめん少しばっか休んでた。」 「お先に失礼しています。」 「…あ、ウルク…ベルハウト…は…?」 「彼ですか?セルティマが運んできたので、こちらの方で休ませています。」 ウルクもどこかの教会に 倒れたベルハウトを 介抱する場所を探したそうだ。 「今はゆっくり休んでいますよ。」 「良かった…。今は一番安心出来るね。」 「僕…ベルハウトの傍に…居ます…。」 「カリス、も。」
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