~想いかすれて~

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ベルハウトは教会の庭を 懸命に歩き回る。 もちろん、誰に 支えてもらう事はせずに ただ一人で歩行の訓練に 励んでいた。 「…ベルハウト、つら…い?エリオット…なんで…なんで?」 「…カ、カリス…。僕も…分からないよ…。」 教会の庭を悲しい目で見る カリスとエリオット。 手を差し伸べても、 ベルハウトはその手を 何があっても取ることはない。 「…エリオット、いいですか?」 「ひっ…!?あっ…あぁ…、ウルク…な、何ですか…?」 後ろからのウルクの声に 少年は飛び上がる。 脅かしたつもりはないウルクは 口角を微妙に上げながら 話を始めた。 「…驚き過ぎです。それはそうと…リスフェルが部屋に居なかったのですが…。」 「リスフェル、いない?だいじょうぶ、ない?」 「エリオット、思い当たる場所など…ないですか?」 仲間の少女が他に 行きそうな場所を、 エリオットは知恵を ひねって考える。 「…ごめん…なさい…。僕…考えたんですけど…少し…。」 「…そうですか。」 「ウルク、ウルク。リスフェル。」 カリスは思い付く所があるのか 教会の裏庭の方を指差した。 「…裏庭…ですか…。」 「リスフェル、いる。」 「…そうだ、エリオットもカリスも来ますか?」 「カリス、ウルク、いく!」 「あっ、あっ、どうしよう…。」 判断を下せないエリオットに ウルクは背中を押す。 「僕とカリスは行きます。エリオットはどうしますか?」 「…ぼっ、僕も…行きます…!」
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