~想いかすれて~

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三人はそうして教会の 裏庭に足を運んだ。 小鳥のさえずりが聞こえる中、 空を裂く音が 途切れ途切れに響く。 「…弓…?」 「…リスフェルはここで練習していたんですね…。」 音がぱたりと途切れたら 今度は足音が鳴り、 そうして弓を張る音と 矢が放たれる音が 素早く続いた。 「リスフェル…。」 「あ…?カリス…!?」 「すみません。少し拝見させてもらってます。」 影から飛び出すカリスに続き、 ウルクが姿を出す。 「…エリオットも居るんでしょう?」 「ぁ…ご、ごめんなさい!!…隠れるつもり…なかったんだよ…。」 「…ふふっ、分かってるよ。」 弓を下ろして笑うリスフェル。 その顔に表れた笑みは どこまでも空虚だった。 「弓技の練習ですか。」 「はい、ちょうど良かった。ウルクさん、私と組み手してくれませんか?」 彼女の突然の申し出に ウルクは唸る。 リスフェルは愛用の弓を 変形させて二対の剣に 持ち替えた。 「ウルクさん、私は双剣であなたを追い詰めます。」 「…リスフェルと組み手をするのは、その…気が引けますね…。」 「仲間同士の模擬戦ですから、気が引けるのは当たり前ですよ。」 「…僕が相手になれば良いんですね?」 ウルクは身長を越す 長槍を取り出し、 戦闘体勢に構えた。 この流れを見ていた エリオットとカリスは 邪魔にならないように下がった 「…ウルクさん、全力で立ち向かいます。」 「…どうぞ。」
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