~想いかすれて~

12/12
前へ
/636ページ
次へ
「リスフェル!?」 ベルハウトは変わり果てた 彼女の姿を 目の当たりにして、声を張る。 『あ…あれ…?どう、どうして…?』 鈍い光が全身を包む。 リスフェル本人は 自身の体を見て おののくばかりだ。 『ふっ…あぁ…!わた、私…!!』 「落ち着けっ…、リスフェル…!」 混乱に陥ったリスフェルに、 ベルハウトは 動きにくい体を押して近寄る。 彼が願った想いを 打ち砕くように、 甘く低い声が リスフェルに誘惑をかける。 『それがお前の欲しがった力の姿。その力があれば、戦えるぞ…。』 『あっ…、そっか…そうだよ…。私…強くならなきゃ…。ベルハウトに…追い付かなきゃ…!!』 くすんだ白光は リスフェルに呼応して、 形を作り出す。 何かを閉じ込めた花の蕾。 『あっ…はは…!私が強くなくちゃ…!』 「止めろっ!!リスフェルッ…!」 ベルハウトの想いはかすれて ついにリスフェルには 届かなくなった。 彼女を包む蕾が開く。 『あぁーー!!』 「リス…フェル…。」 魔力は白炎となり、 彼女を焦がした。 悲鳴を上げて 悶え苦しむ姿を見て ベルハウトとエリオットは 顔をひそめる。 「あっ、あっ…リスフェル…ひっ…。」 「…エリオット。逃げろ…、ウルクに伝えてきてくれ。」 「…い、いや…だ!」 「行けっ!!」 ベルハウトの気迫に押され、 少年はもつれながら 走り出した。 目の前には魔力を 受け入れて白炎をまとう リスフェルが立つ。 彼女は彼を襲わずに エリオットを追うように、 もの凄い速さで駆けて行った。 「リスフェル…まさか…!」
/636ページ

最初のコメントを投稿しよう!

208人が本棚に入れています
本棚に追加