~暴走の果て~

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魔物の群れはなんとか ドローテルの町の手前で 食い止められている。 ウルクも『人間』である 姿ではなく、 本来の美しい豊穣の金の髪を 煌めかせて魔術を放つ。 『呼びたるその名は激嵐!全てを巻き込み、触れる邪を吹き飛ばせ!サイクロン!!』 土煙から竜巻が巻き起こり 魔物の群れを上空まで 打ち上げる。 そしてすぐさま長槍で 魔術をかわした魔物を 一匹残さず葬っていく。 セルティマも全身を使って 魔物という魔物を 薙ぎ倒してゆく。 「レイトラスト♪ブランディス!とどめにっ!レイジウィングル!!」 光まとう戦輪を投げて 魔物を掃討する。 セルティマの体には 魔力の淡い光が漂う。 浮かぶ魔力を詠み上げて 彼は魔術を発動させた。 『じゃじゃーん♪無護な体を救う魔法!フィールドバリアー!』 錫杖から光の膜が膨らみ 一同を包み込む。 「セルティマ、そんな魔術が使えるんですね。」 「ウルクもその金色の髪きれいだね。正しき聖者の名の通りだ♪」 戦いの中で一息など付けない。 気を張り詰めたまま、 二人は奥で魔術をずっと 詠み続けるカリスを 守るために襲い来る魔物に 攻撃を続ける。 「はぁ…!くっ…!きりが尽きません…!!」 「あぁもうっ!次から次ぎとっ!!」 二人共息を肩で切りながら 襲いかかる魔物に 挑みかかる。 残り体力もない中、 後ろから泣き叫ぶ 聞き慣れた声が聞こえてきた。 「…エリオット君!?」 「はっ…はぁっ…!!ベルハウトがっ、ベルハウトがっ!!」 「どうしたんですか?」 「あっ、わっ!?ウル、ウルク!?」 「あ、髪の事ならお気になさらず。」
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