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毛布が掛けられて分からなかったが、上半身が裸で包帯が巻かれているとは対象に、下半身はいつも使っているインナーのままだった。
そういえば、鎧や剣は……いや、今は考える必要がない。取り敢えず誰かに会おう。
部屋を出て目に見えたのは、やたらと広い廊下だった。左右に広がり片方は曲がり角が見えるも、もう片方には延々と直線に廊下が続いている。恐ろしく広い。
それぞれ一定の間隔をとって、私が出てきた部屋と同じような戸口が規則正しく並んでいる。コレらもすべて同じような病棟だろうか。
前方には窓。日の光が強く差しでいる辺り、恐らく太陽は南中している。コレもまた、一定の間隔で廊下の壁に並べられている。
見ていて感心する程きれいな構造。流石ロチェストの城塞である。
「!」
規則正しく窓が配置されている中、一部だけ例外があった。恐らく上の階に続くであろう階段。何か景色が変わるかもしれない。
今のところ、見渡しても人の気配は皆無。宛はないが、誰かいるだろうと言う予想を抱きつつ、私はその階段を上った。
階段を上っているとき、私のこれからの待遇が気がかりになった。
状況的に仕方ないといえど、ブラッディシェイドの所持は明らかに騎士団の規律に反する。規律に背いた場合は、例外なく罰の対象になるだろう。
私は最近、ロチェスト王国の騎士団生徒として活動を始めたばかりなのだが、恐らく今回一連の行動でその資格が剥奪されるのではないだろうか。
惜しいが、仕方ないと言えばそれまで。私は私の信じたやり方であのジャイアントオーガを倒したのだから、それによって誰かが救われたのなら後悔はしない。
恐らく、ドゥイン様にあったらまず事務的なことで凄く怒られるだろう。その辺は覚悟しておくことにした。
階段を上りきると、目の前に戸口が一つあった。先ほどの病棟とは違い、ある程度装飾の施された特別なもので、一風変わった雰囲気がある。
しかし、そこから強い日の光が射していたのだ。これは恐らく、外につながる出口だと見受けられる。私は迷いなく、その戸口を開いた。
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