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思いの外、外に出た。しかし風景的に、此処は高度が高い。周りにテーブルや幾つかの椅子があるのを見る限り、ここはバルコニーと言ったところか。
風当たりがよく、自然を楽しむには確かにもってこいの場所だ。此処から見える風景はさえ渡っていることだろう。
『ハッ! ハッ!』
場内にいる間には聞こえなかった、統一感のある声がしたの階から聞こえてくる。大勢、それも大半が男性であり、外で何かをしているようだ。
落下防止のため勿論柵が設けられている。私は柵から下を覗き、ここら一帯がどういう地形なのか、声の正体は何なのか覗いてみることにした。
『ハッ! ハッ!』
直ぐ下は自然の庭園だった。よく整備をされていて、緑が美しい。その中に、大多数の人間が槍と大盾を持って、一連の動作を合わせていた。
騎士を思わせる鎧を身につけているようだ。なるほど、今は訓練をやっているらしい。いかなる事態にも屈しないためには、日々の訓練は確かに必要である。
それにしても、ロチェスト王国騎士団は大盾と槍による戦術を採用していたのか。ロチェストの城下町入り口にいた門番は、槍しか持っていなかったのに。
次に私は視線をずらし、何処までも続いている地形に目を通す。城壁であろう壁の向こう側は、何処までも続く森と入り乱れた岩石地形が……………ん?
「待て、変だ……」
待て待て待て待て。
ロチェストの周りはこんな森と崖だらけの地形だったか? 少なくとも私は平原であると記憶していたが……。
…見たことのない風景だ。
そもそも城塞を思わせるあの大きな扉ではなく、鉄格子のような門が見える。あの風貌、流石にこの城の出入り口であろうが、ロチェストのモノではない。
つまり此処はロチェストではないということなのか? ロチェスト以外の城とは……。
『紅魔城のナイトたるもの、窮地にも屈さぬ精神を持つことだ!!』
『応ッ!!』
今のは下の騎士団の声。
……紅魔城?
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