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前例の比にはならない量を噛み千切り、それを私の体内に取り込む。ブラッディシェイドの実からは特有の血色の液汁が飛び散り、私の顔を赤く染める。
それを気にすることなく私は実を全て取り込むと、直ぐに異変は起きた。
「――――ぐ、あ、あぐ、ぎぃ、いぃい!!!!」
心臓の鼓動がやかましく頭に響き、血が煮えたぎるように暑くなる。脳が苦痛で満たされ、一瞬で意識を刈り取られそうな感覚に陥る。
視界が揺らぎ、真っ赤に染まる。体内の物を全部吐き出してしまいそうな嫌悪感。
体が熱い。気持ち悪い。
今私はどうなっている?
マレックさん、ゲレンさん、ドゥイン様から見て、私は今どうなっている?
苦しい。
苦しい。
苦しい。
とにかく後悔した。何故あんな物を口にしたのだ。私はいつぞやに口にしたのをきっかけに、学んだのではないのか。何故また、同じ苦しみを味わうのだ。
――――違う。そうだ、私は、力を。奴を倒す、力を手に入れたい。
「ぐ、おぉぉ、ぉおおああぁぁぁぁッッ!!!」
私の声とは思えないほどの声で咆哮し、私が私自身であることに固執し、意識を何とか保つ。身体全体に力が溢れかえり、何もかも弾き返せるような屈強な力に包まれたかのような感覚を覚える。
これなら、勝てる。
腰に差したデュアルソードを再び掴み、こちらの一連の動作に注目していたタイタンに猛進する。
「おい、リシタ!?」
それはマレックさんの声だったが、既に遠くからの響きにすぎなかった。私は一秒も時間をかけず、たった一歩でタイタンとの間にあった距離を詰めたのだ。
人間の所業ではないことに気付いてはいるが、そんなことは構うものか。奴を倒せるなら、それでいい。
剣の一本を逆手に持ち、跳躍の勢いをつけて前方の目標――――タイタンのその太い足を"斬りつけた"――――いや、"ぶった斬った"。
タイタンの足が、無くなったのだ。
「グヴォォォォオッ!!?」
流石にその声は、苦痛にしか聞こえなかった。
胴体を狙っていれば、一撃必殺に等しいものになっていただろう。タイタンの足に装着されていた専用のアンクルガードさえもバラバラに砕き、辺り一面にその破片を散りばめた。
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