ハサミ男現る!

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人に褒められたのって何年振りだろうか。 しかもこんな爽やかなイケメンに。 …………まてよ。 顔やスタイルに褒める場所がないから、当たり障りのない『髪』という項目に目をつけたのではなかろうか。 騙されるでないぞ、私。 「あ、それ。鳥海薫すか?」 また自分の世界に入り込んでいると、彼は私の持っていた本を指差した。 「知ってるの!?」 私以外で鳥海先生のことを知っている人を初めて見た。 鳥海先生は、知る人ぞ知るコアな存在なのだ。 「お客さんで好きな人がいたから」 お客さん? その一言でパズルのピースが全て揃った。 もしかして、この人……。 「お待たせしました。ブレンドコーヒーでございます」
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