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あたしなんかに一目惚れすることなんかないって思うけど、上田さんは静かにあたしの後ろに立っている。
どうせ惚れられるなら、須藤さんがいいのに…。
そう思って、隣に立つ須藤さんを視線だけでそっと見上げた。
背、高いなぁ…何センチあるのかな。
180は軽く超えてそう。
鼻もスッとしてて、唇は品がいい。
男の人ってなんで睫毛がこんなに長いんだろう。
マスカラとかで痛めつけないからかなぁ。
須藤さんっていくつなんだろう。
肌がとても綺麗。…あ、顎の下に小さなホクロ、見つけた。
じっと見つめるわけにもいかないから、何回かに分けて見上げては須藤さんの外見に見入る。
途中階でエレベーターが止まって、他の会社の人も乗り合わせた。
押し込められるままに、周りに気を遣いながら、1歩2歩と下がって、須藤さんの背中を眺める位置に立った。
自然と混雑する箱の中。
東京の通勤ラッシュみたいだな…。
仲間同士、小声で話し続ける人、エントランスまで無言を貫く人。
……えっ?!
あたしの右手をそっと繋ぐ誰かの手。
限られた空間で起こった突然の出来事に、呼吸を忘れそうになる。
あたしの右手には、プラチナ付きの左手が絡まっていた。
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