矢印が動くとき

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緑色のストローを口に含み、車窓から見える海を眺めながら、時々彼を見て。 こんな毎日が続けばいいな……なんて呑気な事を考えては、仕事に忙殺されるだろう休み明けをできるだけ先延ばししたくなる。 「楽しくないか?」 「うぅん、すごく楽しいけど。」 「あまり話してくれないからさ、つまらないのかと思った。」 「そんなことないよ。一緒にいられて嬉しいし。」 「そう?全然笑わないじゃん。」 「あ……うん、ちょっと緊張してるのもある。」 「何を今さら。」 彼が目元をくしゃっとさせて微笑んでくれて、幾分か気持ちがほぐれたのは事実だけど、気になることがあってそれをずっと考えていたら。無言になってしまっていたなんて言えそうにない。
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